TITLE: The Body Of An American(ザ・ボディー・オブ・アン・アメリカン)
AUTHOR: Shane MacGowan(シェーン・マガウワン)
PERFORMER: The Pogues(ザ・ポーグス)
アメリカ合衆国に渡ったあるいは渡らざるを得なかったアイルランド人が就いた職業といえば、その代表的なもののひとつが体が資本の警官でした。
これはザ・サウザンズ・アー・セーリングやザ・ストリーツ・オブ・ニュー・ヨークでも歌われています。
そんなアイルランド人とは切っても切り離すことの出来ない警官を描いたアメリカのテレビドラマが、2002年から放映されていた「ザ・ワイヤー」です。
そのドラマの中で警察官の通夜のシーンがあります(こちら)。ビリヤード場みたいなところで死体が寝かされているのですが、フィネガンズ・ウェイクでも歌われていたように酒を片手にワイワイガヤガヤ、そして、大合唱。
ザ・ポーグスの「ザ・ボディー・オブ・アン・アメリカン」、つまり「アメリカ人の死体」をバックに大合唱です。生と死の境目がうっすら見えなくなる、そんな空間です。
the Cadillac: ザ・キャディラック、アメリカの大型車キャデラック、霊柩車としても使われる
the Yanks: ザ・ヤンクス、アメリカ合衆国のニュー・イングランド地方に住んでいる人々のことを指していたが、それも薄れてアメリカ北部の住人、またはアメリカ人
Irish: アイリッシュ、アイルランドの
New York City: ニュー・ヨーク・シティー、アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市
Boston: ボストン、アメリカ合衆国マサチューセッツ州州都
PA: ピーエー、アメリカ合衆国ペンシルバニア州のこと
the USA: ザ・ユーエスエー、アメリカ合衆国
Pittsburgh: ピッツバーグ、ペンシルバニア州の都市
Tiny Tartanella: タイニー・タータネラ、歌詞の内容からするとおそらくボクサーの名前だと思われるが、確証はなし
sláinte: スローンチャ、アイルランド語で「健康」の意味だが、「乾杯」のときにも用いられる
Erin go: エリン・ゴ、Erin go braghの最後のbraghが取れた形で、「アイルランドよ永遠に」がその意
Amerikay: アメリケイ、アメリカのこと。aという文字は「ア」とも「エイ」とも読むので、その気さえあれば”America”のままで「アメリケイ」と読めなくもない。ちなみに”California”も、iが「イ」や「アイ」と読めることから、「カリフォーナイエイ」とも読んでも優しい人なら分かってくれるはずである
Spanish: スパニッシュ、スペインの
The Cadillac stood by the house
And the Yanks they were within
And the tinker boys they hissed advice
Hot-wire her with a pin
Then we turned and shook as we had a look
In the room where the dead man lay
So big Jim Dwyer made his last trip
To the shores where his fathers lay
Fifteen minutes later
We had our first taste of whiskey
There was uncles giving lectures
On ancient Irish history
The men all started telling jokes
And the women they got frisky
At five o’clock in the evening
Every bastard there was piskey
Fare thee well going away
There’s nothing left to say
Farewell to New York City boys
To Boston and PA
He took them out
With a well-aimed clout
He was often heard to say
I’m a free born man of the USA
He fought the champ in Pittsburgh
And he slashed him to the ground
He took on Tiny Tartanella
And it only went one round
He never had no time for reds
For drink or dice or whores
And he never threw a fight unless the fight was right
So they sent him to the war
Fare the well gone away
There’s nothing left to say
With a slainte Joe and Erin go
My love’s in Amerikay
The calling of the rosary
Spanish wine from far away
I’m a free born man of the USA
This morning on the harbour
When I said goodbye to you
I remember how I swore
That I’d come back to you one day
And as the sunset came to meet
The evening on the hill
I told you I’d always love
I always did and I always will
Fare thee well gone away
There’s nothing left to say
But say adieu to your eyes as blue
As the water in the bay
And to big Jim Dwyer the man of wire
Who was often heard to say
I’m a free born man of the USA
I’m a free born man of the USA
I’m a free born man of the USA
アメリカの奴らがいる
家に停まるキャデラック
ピンで直結しろっていう
不良のガキのヒソヒソ声
視線を移して覗いた先には
死体が一人部屋に眠る
巨漢のジム・ドワイヤーは
最後の旅で先祖の眠る岸へ渡る
それから15分も経てば
ようやくウイスキーを味わえる
大昔のアイルランドの歴史の
講釈をたれるおじさんたちに
誰彼となく冗談が飛び交い
女も気分も乗ってきて
日暮れをむかえる5時になると
どいつもこいつもチビッてる
さらばここから旅に出る
言い残したことは何もない
さらばニューヨーク
ボストンにペンシルバニア
破壊力のある一撃で
やっつけたジムの
こんなセリフをよく耳にした
俺はアメリカ生まれの自由人
ピッツバーグで戦った相手は
チャンピオンのタータネラ
わずか一ラウンドで
一撃必殺叩きのめす
クスリを打つ間も
飲む打つ買うも全くできず
間違った戦いは仕掛けられず
戦地に送られてった
さらばここから旅に出る
言い残したことは何もない
乾杯そしてアイルランド万歳
メリケンの地に愛を捧ぐ
ロザリオの祈りに
遥か彼方のスペインワイン
俺はアメリカ生まれの自由人
みんなに別れを告げようと
今朝港に行ったとき
いつか戻ってくるって
誓った約束がよみがえる
沈む夕日が山の稜線で
日暮れと出会うとき
今までどおりこれからもいつまでも
愛しつづけるって言ったんだ
さらばここから旅に出る
言い残したことは何もない
海の碧のようなその青い瞳に
さよならと言うだけだ
鋼の男ジム・ドワイヤーの
こんなセリフをよく耳にした
俺はアメリカ生まれの自由人
俺はアメリカ生まれの自由人
俺はアメリカ生まれの自由人
◆ ザ・ポーグス(シェーン・マガウワン)
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