Favorite songs of mine from Ireland, Scotland, … and Japan

気がついたらアイルランドとスコットランドの曲にはまっていた日本人が気が向いたときに歌詞と訳を載せています

TITLE: Grace(グレイス)
AUTHOR: Sean O’Meara/Frank O’Meara(ショーン・オマーラ/フランク・オマーラ)
PERFORMER: Jim McCann(ジム・マキャン)


ジョーセフ・メアリー・プランケット(Joseph Mary Plunkett: 1887-1916)という名の男性と、グレイス・ギフォード(Grace Gifford: 1888-1955)という名の女性の結婚は7時間しか続きませんでした。7カ月でもなく、7週間でもなく、7日間でもなく、7時間です。

1916年、アイルランドで「イースター・ライジング」という武装蜂起が4月下旬に起き一週間ほど続きました。簡単にいうと、当時占領していたイギリスに対して反旗を翻し、独立を勝ち取ろうとしたのです。結果は、反旗を翻した側の無条件降伏に終わったのですが、当然その後待ち構えているのが、首謀者の処分です。

反旗を翻した人たちはキルメイナム刑務所(Kilmainham Jail)に収容され、軍事裁判により首謀者が死刑判決を受けます。その判決を受けた人の中に、この曲の主人公の一人であるジョーセフがいたのです。ジョーセフはその当時入院していたのですが、病院を抜け出し、仲間のもとへ駆けつけたのです。

そのジョーセフには、この曲のタイトルにもなっている恋人のグレイスがいました。二人は、ジョーセフの死刑執行前日に刑務所内のチャペルで結婚式を挙げたのです。

その7時間後の1916年5月4日にジョーセフは銃殺刑によりこの世を去りました。そして、グレイスはその後結婚することはありませんでした。


Kilmainham Gaol: キルメイナム・ジェイル、以前アイルランドの首都ダブリンのキルメイナムにあった刑務所
Padhraic: ポーリク、パトリック・ピアス(Páidric Pearse: 1879-1916)、アイルランドの教師、詩人、活動家でイースター・ライジングの首謀者の一人
the GPO: ザ・ジーピーオー、ダブリンの中央郵便局(The General Post Office)


As we gather in the chapel here in old Kilmainham Gaol
I think about these past few weeks, oh will they say we’ve failed
From our schooldays they have told us we must yearn for liberty
Yet all I want in this dark place is to have you here with me

Oh Grace just hold me in your arms and let this moment linger
They’ll take me out at dawn and I will die
With all my love I place this wedding ring upon your finger
There won’t be time to share our love for we must say goodbye

Now I know it’s hard for you my love to ever understand
The love I bear for these brave men, my love for this dear land
But when Padhraic called me to his side down in the GPO
I had to leave my own sick bed, to him I had to go

Oh Grace just hold me in your arms and let this moment linger
They’ll take me out at dawn and I will die
With all my love I place this wedding ring upon your finger
There won’t be time to share our love for we must say goodbye

Now as the dawn is breaking, my heart is breaking too
On this May morn as I walk out my thoughts will be of you
And I’ll write some words upon the wall so everyone will know
I love so much that I could see his blood upon the rose

Oh Grace just hold me in your arms and let this moment linger
They’ll take me out at dawn and I will die
With all my love I place this wedding ring upon your finger
There won’t be time to share our love for we must say goodbye

Oh, there won’t be time to share our love so we must say goodbye


二人で今いるチャペルは古いキルメイナム刑務所
この数週間が頭をよぎる、しくじったと思われているのだろうか
学校のときから自由は求めるものと習ってきたけど
この暗い場所だと君が一緒にいてくれればそれだけでいい

グレイス、抱きしめてくれ、この瞬間がいつまでも続いてくれ
夜明けが来れば連れていかれて死が待っている
全身全霊愛をこめて結婚指輪を指にはめてあげる
別れがくるから愛を語っている時間はない

勇者に抱く愛、この愛すべき祖国に抱く愛を
なかなか分かってもらえないのは知っている
パトリックから郵便局に来てくれてって呼ばれて
病床からみんなのところへ行くしかなかったんだ

グレイス、抱きしめてくれ、この瞬間がいつまでも続いてくれ
夜明けが来れば連れていかれて死が待っている
全身全霊愛をこめて結婚指輪を指にはめてあげる
別れがくるから愛を語っている時間はない

夜明けが来るのも近い、心が引き裂かれるのも近い
君への想いは歩いて出ていく五月の朝
みんなに分かるように壁に言葉を書いておく
バラの花が血の色に見えるほど愛している

グレイス、抱きしめてくれ、この瞬間がいつまでも続いてくれ
夜明けが来れば連れていかれて死が待っている
全身全霊愛をこめて結婚指輪を指にはめてあげる
別れがくるから愛を語っている時間はない

愛を語っている時間はない、別れが来るのだから


◆ ジム・マキャン

◆ ザ・ウルフ・トーンズ(トミー・バーン)

◆ ロッド・スチュワート


Comments

“Grace
グレイス” への2件のフィードバック

  1. 百路翁のアバター

    ずっと愛読させていただいています。
    パリオリンピック、女子ボクシングで東京に続いて2大会連続で金メダルを獲得したアイルランドのKellie Harrington さんが、メダル授与の後、会場でこの曲を歌っていましたね。
    今でもいかにこの曲がアイルランドの人たちの心に深く響くものなのか、思わされる場面でした。

    1. わざわざコメントを書く時間をとっていただき、ありがとうございました。
      残念ながら、その場面を見ることはできなかったのですが、アイルランド人にとって「国」を背負って戦うことがいかに重大な意味を持つことなのかを思い知らされます。
      この曲を聴くたびに、重量級ラブソングだと思ってしまいます。
      ありがとうございました。

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